びん沼物語②

びん沼は日本一のフナ釣りのメッカ 毎日2500人の太公望

一般にはなじみのうすいびん沼も、釣り場としては全国的に有名だ。いつでも釣り糸をたれる釣り人の姿が目につく。フナの釣り場として訪れる太公望の数は、平日で2500人を数え、規模は日本一という。

埼玉南部漁業協同組合 漁場監視員 鈴木孝治さんに聞く
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このびん沼の釣り人気は、広大で豊かな自然、駐車のしやすさもあるが、やはり魚が豊富なことで支えられている。そして魚は、自然に育った魚ではない。管理する漁業協同組合が放流しているものだ。釣り場の実態について、埼玉南部漁業協同組合でびん沼の監視を担当する鈴木孝治さんにお話をうかがった。

―漁業組合の組合員はどんな人ですか。
鈴木 漁師です。
―しかし、現在漁で生計を立てている人はいませんね。
鈴木 昔漁師をやり舟を持っていた人がそのまま組合に残っているわけです。他に、今では組合員の3分の1は釣り人になっています。
―南部漁業組合というとどこの地域ですか。
鈴木 埼玉県に9組合ありまして、びん沼や伊佐沼(川越市)の管轄を受け持っているのが南部漁業組合です。

1日400円の遊漁券
―そうすると、組合の主な事業は釣り場の管理ということですか。
鈴木 そうです。遊漁券の販売をしながら、ゴミの問題や火を使わないように取り締まりをしています
―遊漁券とは。
鈴木 釣りをする人には、買っていただきます。1日で400円、年間で買うと3000円です。毎日来ている方もいますが、1日あたり6円70銭の計算になります。ただ70歳以上と障害者、中学生以下の子供さんは無料の券をお渡しします。
―遊漁券は払わないと罰則があるのですか。
鈴木 法律で漁業権は漁協にあり、払わない方は漁場から退場していただくことになっています。皆さん払っていただけますが、以前はけんかを売ってくる方もいました。今はそういう人はほとんどいませんね。
―これだけ広いと見回りは大変ですね。
鈴木 朝の7時から4時頃まで、1日3万8000歩歩きます。
―釣り人は何人くらいいるのですか。
鈴木 2500人くらいです。
―土日は。
鈴木 3000人以上ですね。

年6トンを放流
―釣りはヘラブナなのですか。
鈴木 ヘラブナが多いですが、いろいろですね。リールの人はコイ、ウナギ、ナマズをやったり。
―魚は自然に育った魚なのですか。
鈴木 魚は、放流したものです。私どもが、いただいたお金で、全部放流しています。
―どんな魚を。
鈴木 ヘラブナ、マブナ、コイからウナギ、ナマズ、ドジョウ、ハヤ、さらにはタナゴなど小魚まで。
―養殖はどこで。
鈴木 四国です。
―どのくらいの量をいつ放つのですか。
鈴木 稚魚は寒さに強いのですが、暖かいとダメなので、11月から12月までに6トンほどです。
―放流しないと魚がいなくなりますか。
鈴木 びん沼は荒川とつながっていますから、荒川の方に出てしまいます。

 

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―ここは埼玉で一番釣り人が多いのですか。
鈴木 そうです。ヘラブナでは日本で一番です。関西からも来ています。バスで来たり。最近は、放射能問題もあり、茨城の方の人が増えています。昔は向うに釣りに行ったものですが。

―ここはなぜそんなに人気があるのですか。
鈴木 魚が多くてそれだけ釣れるのと、野釣りでこれだけ広い釣り場はありません。やはり自然がすごいですから。
―季節は。
鈴木 年中です。1月1日が一番多いのです。日の出とともに皆釣っています。
―釣った人は、魚をまた水に戻すのではないですか。
鈴木 そうです。今は釣るだけの楽しみです。昔の漁師さんのように、食べるための魚を釣っている人はいません。昔は、コイなどを獲ればお金になりましたが。

ゴミのマナーが問題
―釣り場としての問題は何ですか。
鈴木 やはりゴミです。私からは、買ってきたお弁当のゴミはまたコンビニに持って行ってくださいとお願いしています。特に土日にここで釣り大会がよく開かられるのですが、初めての人はゴミを全部置いていってしまうことが多いです。自分たちもボランティアを使って、清掃はしていますが。
―場所取りの問題は。
鈴木 台を作ったりする人がいますが、それは禁止です。川は国土交通省の所有で勝手に占拠はできません。中には、場所を人に貸してお金を取っている人もおり、そういう人には厳しく注意します。
―他に。
鈴木 これから冬になり、やはり火ですね。草も枯れてきて、火がつくと一面に燃えだしてしまいます。タバコのポイ捨てでもされると困ります。
―鈴木さんはずっとこの仕事を。
鈴木 30年になります。元々このあたりで網を使って魚を獲っていました。
(金子 豊治郎)

Author: ヒキコマ、ハジマル。