びん沼物語③

びん沼川は新河岸川のはんらんを防ぐ調節池
       洪水時には釣り場や公園も水没する

市民の憩いの場であり、釣り人のメッカであるびん沼川。このびん沼川は、実は洪水対策として設けられた調節池でもある。つまり、近くを流れる新河岸川の水位が上がり、洪水の恐れがある時に水を荒川に誘導したり一時的に貯める機能を持つ。ということは、釣り場も公園も、大雨が降ったら水没する可能性があるということ。このことは意外に知られていない。ご用心。

③渋井水門2水門と放水路の建設
川越から下り、びん沼近くを流れる新河岸川は、古くは舟運で有用だったが、沿岸は洪水に悩まされてきた。特に、近年は都市化の進展で、これまで田や畑に浸み込んでいた雨水が急激に河川に流れ込み、氾濫しやすくなった。そこで国と県は河川の拡幅や調節池の建設などの対策を打ってきた。

 

 

 

 

 

③新河岸川放水路3
調節池の建設は、①新河岸川の水をびん沼に引き入れる渋井水門と新河岸川放水路の建設、②びん沼の調節池としての整備、③びん沼の水を荒川に逃がす南畑排水機場の建設、などから成る。新河岸川放水路の工事は昭和43年に始まり、調節池の形ができたのは平成16年だ(渋井の水門と南畑揚水機は今後2基に増やす計画)。
新河岸川放水路の入り口にある渋井の水門は、びん沼の水位が上がり逆流の恐れがある時は閉めるが、普段は開いている。つまり、びん沼には新河岸川の水が流れ込んでいる。そして、びん沼から荒川への出口も普段は開いている。つまり、びん沼には新河岸川から荒川に向かう水の流れがある。びん沼を現在では「びん沼川」と呼ぶのはこのためである。新河岸川放水路ができるまでは、びん沼は伏流水や周辺農地の排水が滞水する河跡湖だった。
荒川への出口に置かれた南畑排水機場は、通常は稼働していないが、荒川の水位が上がって自然のままでは水が流れなくなった場合、ゲートを閉めてポンプを使って毎秒60㎥の水を排水することができる。2013年秋の台風時にもこの揚水機が活躍した。
 
③南畑排水機場42つの公園も水没
調節池の面積は全体で86万㎡ある。その大半は、旧荒川の河跡湖をそのまま生かしたわけだ、元々農地だった民有地を買収したり、堤防を築いたり、掘り込む工事も伴ったという。
調節池内には、びん沼自然公園(富士見市)、萱沼びん沼公園(川越市)という2つの公園もある。びん沼自然公園では犬と散歩する老人や、子供たちの遊ぶ姿が見られ、萱沼びん沼公園にはグランドゴルフのコートもある。しかし、ここは公園であり調節池である。洪水時にはこれらの公園も水没することになる(調節池完成後水没したことはないが)。
なお、びん沼川は、国が管理を行う一級河川であり、実際は国から維持管理権限が知事に委譲され県が管理を行っている。釣り人については、県としては維持管理に支障がなければ釣りをするのは自由だが、、堤防をこわすような行為には厳しく対処するとしている。たとえば、勝手に小屋を建てる、河川敷に車を止めるとか。葦について、概ね5年に1回程度、治水上の影響等を考慮しながら、刈り込むことになっている。
                                (金子 豊治郎)
※河川行政面からのびん沼の歴史と役割については、埼玉県川越県土整備事務所河川担当の石川順一担当課長と小野章介専門員にお聞きした。

 

Author: ヒキコマ、ハジマル。