スプレッド(Spread)とは、主に「広げる、広がる」という意味の単語です。
FXでは、「売り」と「買い」の価格差のことを言います。
FX会社が公式サイトなどで大きくアピールしているため、よく目にする言葉だと思います。
スプレッドは、FX会社にとっては、顧客から徴収する手数料に相当します。
トレーダーにとっては、スプレッドは、トレードする際のコストとなるものです。
この記事では、「スプレッドがある理由」、「スプレッドが会社によって違うこと」や「変動する可能性があること」などを紹介します。
コストを理解し管理していくことは、利益を増やすためにとても重要です。
スプレッドを理解して、効率的に利益を増やしていくために、ぜひ参考にしてください。
スプレッドとは?
FXにおけるスプレッドとは、買い値と売り値の価格差のことです。
FXトレードを行うときに使用する取引プラットフォームでは、通貨ペアごとに二つの価格が表示されているはずです。
以下のような感じです。
ご覧の通り、価格が微妙に異なります。
この価格差をスプレッドと言います。
スプレッドの見方
この場合は、「左側に表示されている価格で売りポジション、右側に表示されている価格で買いポジションを持つことができますよ」ということを示しています。
実際の表示方法は、プラットフォームにより異なり、「SellとBuy」、「BidとAsk」、「売と買」などと表示されていることがあります。
上で示した例では、左側に「130.652」、右側に「130.676」と表示されています。
この差である「0.024」がスプレッドです。
pipsで表示すると、2.4pipsです。
左側が売値、右側が買値なので、買いポジションを持つときの価格が高く、売りポジションを持つときの価格が低くなっています。
つまり、買うときは高い価格で買わされるし、売るときは安い価格で売らされます。
これにより、もし、買った直後に、同じポジションを売った場合は、値動きが全くなかったとしても、この価格差分の損失となります。
トレードで利益を出すためには、狙った方向へ、最低でもスプレッド分は価格が動くことが必要です。
なぜスプレッドがある?
スプレッドの分だけ、不利な価格でポジションを持つことになります。
なぜ、このような仕組みがあるのでしょうか?
これはFX会社の手数料に相当します。
FXとは、つまり、通貨の両替です。
銀行などの金融機関で、外貨両替のサービスがありますが、それと同じことをしています。
そして、銀行では、外貨両替に、1ドルあたり〇円のように、手数料が発生します。
しかし、一般的なFX会社では、そのように、トレードごとに手数料を徴収しません。
かといって、口座使用料なども必要としないため、スプレッドがFX会社にとっての主な収入となります。
スプレッドは会社により異なる
スプレッドは、FX会社の手数料に相当します。
この価格差は、どの会社でも同じなのでしょうか?
いいえ、そうではありません。
スプレッドは会社によって異なります。
全てのトレーダーにとって、スプレッドは小さい方が良いです。
そのため、会社によって、企業努力等で、スプレッドを小さくしています。
なので、だいたい似たような数値が多いです。
しかし、FXではレバレッジを使ってトレードを行うので、大きなロット数で、トレードを行う場合は、小さなスプレッドの差がある程度の金額になる可能性があります。
スプレッドは変動する
スプレッドの分だけ、狙った方向に価格が動かないと、利益が出ません。
スプレッドが大きければ大きいほど、価格が大きく動かないと、利益が出ないことになります。
逆に言うと、スプレッドは小さければ小さいほど利益が出やすいです。
スプレッドが小さいことは、トレーダーにとっては大きなメリットで、FX会社にとっては大きなアピールポイントです。
FX会社のサイトを見ると、ページのよく目立つところに「ドル円のスプレッド0.2pips」などと表示されています。
しかし、この数値だけを見て、判断するのは早計です。
スプレッドは、変動します。
価格変動が激しいとき(重要指標が発表されたとき、重大なニュースがあった時)や流動性が少ないとき(早朝、休場日等)ではスプレッドが大きくなりがちです。
また、そのような明らかな理由が無くても、変動することがあります。
なので、これらの要素を総合的に確認したうえで、スプレッドの大きさを判断したほうが良いです。
ただし、上でも書いた通り、スプレッドはFX会社の手数料です。
スプレッドから得られた収益は、会社のシステム、サービスの向上などに使用されると思われます。
そのため、スプレッドによる手数料が少なすぎる場合は、どこかにしわ寄せが行く可能性が高いです。
例えば、以下のようなことに繋がることが考えられます。
- 取引プラットフォームが貧弱で使いづらい
- 取引エラーが頻発する
- 意図した通りの価格でポジションを持てない(価格が滑る)
- チャートが一時的に止まる。
- サポートの対応が適当過ぎる
FX会社にとって、スプレッドはトレーダーに最も訴求しやすいポイントです。
そのため、各社、できるだけ小さい数値を表示して、アピールしようとしています。
それでは、それらの数値をどのように比較して、評価するのがよいでしょうか?
スプレッドはどう比較するべきか
FX会社の公式サイトには、基本的にトップページのとても目立つ位置に、自社でトレードする際のスプレッドが表示されています。
「FX会社のスプレッドを比較したい」
「スプレッドが一番小さいFX会社がどこか知りたい」
こういう場合、各社の公式サイトを参考にして、もっとも狭いスプレッドを表示している会社を選べばそれでよいのでしょうか?
いいえ。
サイトに表示されているスプレッドの数値を見るだけでは不十分です。
なぜなら、公式サイトに書かれているスプレッドは、基本的に「最小値」や「原則の値」です。
繰り返しになりますが、スプレッドは、相場状況や突然の重要なニュースなどで、変動することがあります。
いくらスプレッドの最小値が小さくても、「ちょっとしたことですぐに広がってしまう」場合や、「常時、スプレッドが変動していて安定しない」といった状況では、スプレッドが小さいことのメリットはあまりありません。
逆に、スプレッドの最小値は特筆すべき数値ではなくても、非常に安定していれば、そちらの方が、結果的に利益につながることも多いです。
デモトレードが一番
最小値だけでなく、実際のスプレッドを知るためにはどうすればよいでしょうか?
ネットの口コミで調べる方法もありますが、書き手の立場が影響することも、書いてある内容がどれだけ正確かなのか判断しづらいです。
一番良いのは、少し手間がかかりますが、各社のアカウントを作り、デモトレードをしてみることです。
デモトレードとは、そのFX会社の実際のプラットフォームで、実際のチャートを使用して、仮想の資金でトレードを行うことができます。
実際のチャートなので、スプレッドも反映されています。
トレード中のスプレッドがどのような感じなのかを確認することができます。
また、デモトレードでは、プラットフォームの使い勝手を確認できるメリットもあります。
国内FXの場合、ほとんどの会社が独自の取引プラットフォームを開発しています。
プラットフォームでできることは基本的に同じですが、その手順や手間は、プラットフォームによって、結構変わります。
そのようなプラットフォームの使い勝手を確認できるという点でも、アカウントを作りデモトレードをしてみるのはおすすめです。
スプレッドはどの通貨も同じ?
最初の方で示した例では、ドル円のスプレッドが「0.024」でした。
では、他の通貨ペア、例えば、ユーロ円、ユーロドルやポンド円などでも、同じ価格差かというとそうではありません。
実際のスプレッドを例として紹介します。
ユーロ円(EURJPY)
左側に「134.167」、右側に「134.190」と表示されています。
この差である「0.023」がスプレッドです。
pipsで表示すると、2.3pipsです。
ユーロドル(EURUSD)
左側に「1.02722」、右側に「1.02736」と表示されています。
この差である「0.00014」がスプレッドです。
ドルストレートのペア(ペア名の右側にドルがある場合)は、pipsがドル円などと異なります。
pipsで表示すると、1.4pipsです。
ポンド円(GBPJPY)
左側に「160.144」、右側に「160.168」と表示されています。
この差である「0.024」がスプレッドです。
pipsで表示すると、2.4pipsです。
スイスフラン円(CHFJPY)
左側に「139.623」、右側に「139.662」と表示されています。
この差である「0.039」がスプレッドです。
pipsで表示すると、3.9pipsです。
他の通貨ペアと比べるとかなり広めです。
このように、通貨ペアによって、少しづつスプレッドが異なります。
基本的な傾向は、トレード参加者が多い(流動性が高い)通貨ペアのスプレッドが小さくなります。
また、FX会社が営業する地域(国内FXであれば日本国内)で人気がある通貨ペアは、宣伝のため、特に小さく設定されていることが多いです。
上の例で使用したのは、海外のFX会社の取引プラットフォームに表示されている価格です。
この例の場合は、ドル円やユーロ円など円が絡む通貨ペアに比べて、ユーロドルのスプレッドがかなり小さいです。
日本国内では、もっともトレードされる通貨ペアはドル円ですが、海外では、ユーロドルになります。
その結果、ほとんどの海外FX会社では、ユーロドルのスプレッドが最も小さく設定されています。
一方、スイスフランと円という組み合わせは、他の主要な通貨ペアと比べると、トレード参加者が少なめです。
そのような要因もあり、この通貨ペアのスプレッドは、結構広めに設定されています。
スプレッドがほとんどない口座もある
FXを始めるには、FX会社のアカウントを作り、お金を入金します。
会社によっては、タイプが違う口座をいくつか設定している場合があります。
例えば「少ない資金でもトレードを開始できる口座」、「システムトレードに特化した口座」などを選べる場合があります。
この口座の一つとして、「スプレッドがほとんど無くて、代わりに手数料を支払う口座」を選べるケースがあります。
特に海外のFX会社で多いですが、「プロ口座」とか「ゼロスプレッド口座」などの名前で、スプレッドが非常に小さい代わりに、トレードごとに手数料がとられる場合があります。
なお、このような口座は、「トレードの注文に対する反応が非常に速い」、「価格の滑りがほとんどない」などの特徴がある場合が多いです。
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