FXチャートのほとんどはランダムな動きです。
水平ラインでの反発やトレンドに見える部分も、ランダムな動きがたまたま作り出したものである可能性が高いです。
しかし、FXチャートの動きが、すべてがランダムではありません。
なぜなら、トレード参加者の多くが、共通する情報や似たような判断基準を持っています。
それにより、ランダムではない動きが発生します。
そのランダムではない部分を利用することで、トレードを有利に進めることができます。
この記事でわかること
- FXのチャートの多くがランダムであること
- しかし、ランダムでは無い部分もあること
- どのようなときにランダムではなくなるのか
ランダムな動きとは?
ランダムとは法則性が無い状態のことです。
FXにおいてランダムな動きとは、チャートがどのように動くのかを全く予測することができない状態です。
実際にチャートの多くはランダムに動いています。
もし、チャートの動きに法則性がある場合は、動きを完全に予測することができることになります。
そのような法則があれば、それを知っている人は、確実に勝ち続けることができるでしょう。
しかし、そのようなFXで確実に勝てる方法は情報商材の売り文句以外ではありえません。
あなたが、これまでにトレードで利益を増やせていたとしても、ランダムな動きにたまたま合致しただけである可能性も大いにあります。
なので、チャートの動きはランダムであることを前提に、思い込みや過信することなく、トレードを行うことが大切です。
ランダムなチャートを作成してみる
そうはいっても、FXのチャートを見ていると、明確なルールに沿って動いているように見えることがあります。
しかし、それもランダムな動きによってたまたま、そのようになったと考えた方が正解かもしれません。
下の画像をご覧ください。
前半は、110円でサポートされ、一旦した抜けた後、大きく上昇した後、110円を下回っています。
その後は、上昇に転ずるも、110円がレジスタンスラインとして働き、反転し下降しています。
FXでよく使われる表現で、上手く説明できるチャートです。
しかし、これは、私が表計算ソフトを使用してランダムな動きを発生させて作成した架空のチャートです。
参考のため、5期間(黄)、20期間(赤)の移動平均線も入れています。
Excelを使用し、以下のような計算を繰り返して作成しました。
- NORM.INVという乱数を発生させる関数を使用して、標準偏差2.0の範囲で乱数を発生させる(①)
- 発生させた乱数(①)を始値である120に足す(②)
- さらに乱数を発生させる(③)
- 発生させた乱数(③)を②に足す
計算するたびに、新たな乱数が発生し、チャートが作成されます。
数回、再計算すると、他にも以下のような、上昇トレンドや下降トレンドのようなチャートができました。
このように、ランダムな動きであっても、実際のチャートでよくみられる動きが容易に再現されます。
水平ラインで反転したり、トレンドラインが発生したりしているように見えますが、すべてランダムな動きによって、たまたまできた形状です。
このように、それっぽく説明できる形状を見つけても、チャートの動きのほとんどはランダムな動きであることを忘れないようにしましょう。
それでは、FXのテクニックは存在しないのでしょうか?
利益が出るか出ないかは運に任せるしかないのでしょうか?
そうではありません。
ランダムであれば負け続けるはずがない
相場のすべてが、ランダムな動きであれば負け続けることはあり得ません。
なぜなら、完全にランダムな動きでチャートが成立しているのであれば、トレードごとに利益になるか損失になるかもランダムで決定されます。
その結果、勝ったり負けたりを繰り返し、資金は増減せず、同じくらいで維持されるのではないしょうか?
しかし、そうではないですよね?
ひたすら負け続けることがありませんか?
私はありました。
FXを始めて相場で勝てていないころ、入金しては溶かし、追加で入金しては溶かしを繰り返していました。
- 上がると思って買いポジションを持ったら下がる
- 損失が大きくなったので損切りしたら反転し始める
- FXニュースのコメンテーターの意見に従ってもその通りにならない
- どう考えても下がりそうなチャートなのに上がり続ける
こんな感じで、とにかく、絶対に負け続けるのです。
こういう経験がある方、他にも多くいませんか?
- FXは絶対に勝てないのでは?
- 動きがランダムで読めなすぎる。
- こんなのただの運じゃん!
こんな風に考え、FXをやっていく意味があるのだろうかと考えていました。
でも、そこで不思議に思ったのです。
- ほんとにランダムな動きをしているのであれば、勝ったり負けたりを繰り返すので、ほとんど資金は減らないのではないか?
- 資金が減り続けるという一方的な結果が出るということは、一定の傾向があるのではないだろうか?
- それと逆のことをやっているから、損失だけが積みあがっていくのではないか
このように、FXチャートのすべてがランダムであれば、負け続けることは無いのではないでしょうか。
少なくとも「入金後一定期間でほぼなくなる」が繰り返されることはないと思います。
実際にはスプレッド分があるので、損失の方が多めに出るのは仕方がありません。
しかし、スプレッドの影響は実はとても小さいです。
国内FXのドル円であれば、スプレッド0.2pipsとかの小ささです。
例えば一回50pipsを狙うデイトレードだとしたら、0.4%です。
毎回のトレード結果から、0.4%ずつマイナスしたとしても、大勢に大きな影響はありません。
少なくとも「どんどん資金が減っていく」状況にはなりません。
では、なぜ「どんどん資金が減っていく」のでしょうか?
それはFXのチャートにランダムでは無い部分があるからです。
買値と売値の間にある価格差です。
例えばドル円のスプレッド0.2pipsとなっている場合は、以下のように価格が提示されます。
- 買い注文:110.012円
- 売り注文:110.010円
こうなると、買いポジションを作った瞬間に、売ったとしても0.2pips分は損失になります。
この価格差は、FX会社の手数料となります。
狙う利益幅が小さくなるほどスプレッドの影響は大きくなります。
例えば、数pipsで利確するスキャルピングでは、スプレッドの占める割合はかなり大きな負担となるでしょう。
FXでランダムではないものは?
ランダムな動きが支配するFXのチャートですが、その全てがランダムというわけではありません。
ランダムではない動きをする場面もあります。
一定の傾向が生まれる場合があります。
それは、トレンドの発生です。
つまり、「一定方向に進み続ける動き」です。
ランダムに動くということは、トレードの全参加者が、独自の考えでトレードをしている状態だと考えられます。
逆に、ある程度のトレード参加者が、同じ考えでトレードを行うとランダムとは異なる動きが発生します。
極端な状況を仮定すると、トレード参加者のほとんどが買い注文を出し続けている状況では、価格はどんどん上昇し続けます。
このように、トレード参加者の注文が偏っている時に、価格は一定方向に進みます。
そして、チャートにはトレンドが発生します。
それでは、どのような時に、トレード参加者の注文が偏るのでしょうか?
それは、それまでと異なる常識が発生した時、多くの人にわかりやすい理由がある時などです。
例えば、以下のような時です。
- 予想外の政策発表
- 予想外の事故・事件・パンデミック
- キリがよい価格に対する意識
- 大量のロスカット(目安の価格を通り抜けたときなど)
- 同じ情報を見てトレードを開始する人が多くいる状況(メディアでの「記録的な円安が進行中」など)
このような理由で発生したトレンドは、ランダムな動きが作り出したチャートの形とは異なります。
これらのランダムではない動きを積極的に利用することで、トレードを有利に進めることができます。
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