FXのロスカットとは?:FXの基本

FXにおけるロスカット(Loss cut)とは含み損が一定以上になった時に強制的にポジションを決済するシステムです。
勝手に決済される怖いシステムのように感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、トレーダーの資金を守るために必要なシステムです。

この記事では、「ロスカットがある理由」や「ロスカットの計算方法」などを紹介します。
また、ロスカット水準は損失がかなり拡大し、それ以上になると口座資金に重大なダメージがある水準です。
なので、そもそもロスカットのリスクがある状況にならないことが望ましいです。
そこで、ロスカットの水準にならないようにするためにはどのようにすればよいかも説明します。

ロスカットの計算方法

ロスカットになる基準は会社によって異なります。
各社のロスカット水準は「証拠金維持率100%」といった書き方で説明されます。
証拠金維持率とは、「必要証拠金」と「有効証拠金(口座資金の評価額)」の割合のことです。

ここでは、それぞれの言葉の意味とその計算方法を解説します。

必要証拠金

ポジションを保有するために使用している証拠金の合計です。

「使用中の証拠金」、「必要保証金」、「取引証拠金」などと表記される場合もあります。

必要証拠金は、レバレッジや通貨の交換レートなどを踏まえて、計算されます。
計算内容は、以下のとおりです。

通貨量×通貨レート÷レバレッジ=必要証拠金

例えば、レバレッジ25倍の口座で、1ドル120円換算の時に1万通貨のドル買いを行った場合は以下のようになります。

10,000×120÷25=48,000円

このように、ドル円を1万通貨を保有している場合の必要証拠金は48,000円です。
最初に1万ドルを円換算のため120を掛け、レバレッジが25倍であるため25で割っています。

2万通貨を保有している場合は、この倍となります。
このように、ポジションを所有するごとに、一定量の必要証拠金が発生します。

有効証拠金(口座資金の評価額)

証拠金に現在保有中のポジションの評価額を合計した金額です。
「純資産額」、「評価残高」などと表記される場合もあります。

なお、証拠金とは、FX口座に実際に入金されている金額です。
計算内容は、以下のとおりです。

証拠金+ポジションの評価額=有効証拠金

例えば、証拠金が100,000円で、現在保有中のポジションが20,000円の損失であった場合は以下のようになります。

100,000-20,000=80,000円

この場合の有効証拠金は80,000円です。

ポジションを決済すると、この金額が確定されます。
逆に言うと、決済するまでは有効証拠金がどれだけ小さくても、証拠金は元のまま変わりません。

証拠金維持率

有効証拠金に対する必要証拠金の割合です。
これがロスカットの判断に使用されます。

計算内容は、以下のとおりです。

有効証拠金÷必要証拠金×100=証拠金維持率(%)

例えば上で示した計算例の状況(有効証拠金が80,000円必要証拠金が48,000円)であった場合は以下のようになります。

80,000÷48,000×100≒167%

となり、証拠金維持率は約167%です。

ロスカットの計算例

証拠金維持率は、「通貨ペア」や「ポジション数」によって変わります

同じpips分逆行した場合でも、通貨ペアやポジション数が違えば、ロスカットの判断に使用される証拠金維持率に違いが出てきます。
ここでは、通貨ペアやポジション数、損失量が異なる場合に、それぞれ証拠金維持率がどのようにかわるのかを計算してみます。

各例ともに、証拠金(口座に実際に入っている資金)は100,000円です。

①ドル円(1ドル=120円)、1万通貨、400pips損失

ドル円1万通貨で400pips損失は40,000円の損失です。
そのため、有効証拠金は60,000円(100,000-60,000)です。
また、ドル円1万通貨の必要証拠金は48,000円です。
その結果、以下の通り証拠金維持率は125%となります。

60,000÷48,000×100=125

②ドル円(1ドル=120円)、2万通貨、50pips損失

ドル円2万通貨で50pips損失は10,000円の損失です。

この場合は、有効証拠金は90,000円(100,000-10,000)です。

また、ドル円2万通貨の必要証拠金は96,000円です。

その結果、以下の通り証拠金維持率は約93.8%となります。

90,000÷96,000×100=93.75

2万通貨を持つことで、必要証拠金が増加した結果、50pipsの損失でも証拠金維持率は100%を下回ります。
なお、20pips逆行した時点で100%に達します。

③ポンド円(1ポンド=150円)、1万通貨、400pips損失

ポンド円1万通貨で400pips損失は40,000円の損失です。
この場合は、有効証拠金は60,000円(100,000-40,000)です。
また、ポンド円1万通貨の必要証拠金は60,000円です。
ポンドはドルより高いため、必要証拠金はドル円よりも高額になります。
その結果、以下の通り証拠金維持率は100%となります。

60,000÷60,000×100=100

ドル円と同じ通貨量で同じ損失幅であっても、証拠金維持率が異なります。

④ユーロドル(1ユーロ=1.1ドル、1ドル=120円)、1万通貨、400pips損失

ユーロドル1万通貨で400pips損失は48,000円の損失です。
この場合は、有効証拠金は52,000円(100,000-48,000)です。
また、ユーロドル1万通貨の必要証拠金は52,800円です。
その結果、以下の通り証拠金維持率は約98.5%となります。

52,000÷52,800×100≒98.5

円が絡まない通貨ペアだと、損失額や必要証拠金の計算結果が変わってきます。

ロスカットは会社によって違う

証拠金維持率が一定の水準を下回るとロスカットが発動します。
そして、ロスカットになる水準は会社によって異なります
100%のところや50%、70%など様々です。

上の例では、②の「ドル円2万通貨、50pips損失」の場合、証拠金維持率は約93.8%となっていました。
ロスカット水準が70%の会社の場合、特に何も問題がありませんが、100%としている会社であればロスカットとなりポジションが強制的に決済されてしまいます。

このように、ロスカット水準を把握していないと、思わぬところでポジションが決済され損失が確定されてしまうことが起こり得ます。
自分が使用しているFX会社のロスカット水準を把握しておくことが大切です。

ロスカットは何のため?

ロスカットは、損失が一定以上拡大することを防ぐ役割があります。

トレーダーが、「ある程度損失が大きくなったら、裁量で決済するつもり」であっても、急激な価格変動の時などは、あっという間にその水準を大きく下回ることもあります。
そうなると、気付いた時には想定していた損切りラインを大きく下回り、口座資金がほとんどなくなるようなことも起こりえます。
FXでは、口座資金の何倍もの取引ができてしまうので、急激な価格変動によっては、口座資金を上回るような損失につながる事さえあります。
そのような時にロスカットがあると、大きなダメージは受けますが、最低限の資金が残った状態で損失を確定することができます。

つまり、ロスカットがあるから最悪の事態を免れるのです。

ロスカットは絶対ではない

ロスカットがあるから絶対に安全というわけではありません。
あまりにも急激な変動が起こった場合には、ロスカットが間に合わない場合もあります
なので、ロスカットになる可能性があるほどの高レバレッジでの取引を行わず、口座資金に対して余裕を持ったトレードを行うことが望ましいです。

ロスカットになりそうだけど避けたい!というときには?

ロスカットを防ぐには以下の二つの方法があります。

ポジションの一部を決済する

ポジションの一部を決済して必要証拠金を減らしましょう。
そうすることで証拠金維持率を回復させることができます。

以下のような状況の時に有効です。

  • ポジションを持ちすぎて、すぐにロスカット水準に達しそう
  • ある程度の逆行は仕方ないので、もう少し様子を見たい
  • しかし、ポジション数が多すぎてそこまで耐えられなそう

証拠金を追加する

資金を入金して証拠金(口座に実際に入っている資金)を増やしましょう。
証拠金を増やせば、その分有効証拠金も増えるので、証拠金維持率を回復させることができます。
会社によっては入金の反映までに時間がかかる場合があるので、注意が必要です。

以下のような状況の時に有効です。

  • 長期投資をしているので、ある程度逆行するのは織り込み済み
  • 口座に入れていないけど、そのうち入れようと思っていた資金がある
  • ロスカットで決済することなく、今のポジションを保有し続けたい

ロスカットになりそうなときにはどう考えればよい?

ロスカットを防ぐ方法を紹介しましたが、あまりお勧めしません。
ロスカットになりそうであれば、そのままロスカットを受け入れることが望ましいです。

ロスカットになるほどの大きな価格のトレンドは、その後もしばらく続く可能性が高いです。
ポジションを全部切って、一旦相場から離れるのがおすすめです。

特に、ロスカットを防ぐため安易に証拠金を追加するのは危険です。
繰り返しになりますが、トレンドはしばらく続くことが考えられます。
なので、証拠金を追加するとさらに損失が際限なく大きくなる可能性があります
証拠金を追加してこのまま持ち続ける明確な理由がある場合にのみ、この方法をとるべきです。

そもそもロスカット水準に近づく状況に陥るのが良くありません。
ロスカットの心配が無いようにポジションを調整しながらトレードを行いましょう。

ロスカットにならないようにするには?

ロスカットにならないようにするためには実行レバレッジを小さくしてトレードを行う必要があります。

「現在保有しているポジションにどれくらいのレバレッジがかかっているか」の数値です。

レバレッジ25倍の口座の場合、保有できる最大ギリギリまでポジションを持った場合は、レバレッジ25倍を使用しています。
有効レバレッジも25倍です。

その半分の量のポジションを持っている場合は、有効レバレッジも半減します。

有効レバレッジを小さくするためには、証拠金に対してポジションサイズを小さくします。

証拠金10万円でドル円2万通貨(1ドル=120円)を保有している場合、有効レバレッジは24倍です。
ほとんど保有できるギリギリまでポジションを持っている状態です。
この場合は20pips逆行しただけで証拠金維持率が100%に達し、会社によってはロスカットになります。

証拠金10万円でドル円1000通貨(1ドル=120円)の場合、有効レバレッジは1.2倍です。
1000通貨の必要証拠金は4800円とかなり少なくすみます。
この場合、9520pips逆行してやっと証拠金維持率が100%に達します。

これはドル円120円が25円弱になる事に相当し、ほとんど起こり得ません。
このように、証拠金に対し、十分に小さいポジションでトレードを行うとロスカットのリスクはほとんどありません。
FXでは平常心でトレードをすることがとても大切ですが、ロスカットに近づくとほとんどの人が平常心を失い始めると思います。
そういう意味でも、低レバレッジのロスカットのリスクがほとんどない状態でトレードすることがおすすめです。

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